人権・同和教育部より

人権・同和教育部より

『改訂版 高校生の同和問題学習』(香川県高等学校教育研究会 人権・同和教育部会第3ブロック会、2019年)表紙より

 

新型コロナウイルス感染症にまつわる「差別」について、みなさんに考えてもらいたいと思います。

 

現在、全世界が未曾有の事態に直面しています。

感染防止対策を講じ、治療薬、予防薬開発に向け、全世界がコロナウイルスと闘っている一方で、新型コロナ感染症に関する誤解や偏見、忌避意識などにより、感染された人とそのご家族や同僚、友人、治療にあたっている病院関係者、海外からの帰国者に対する不当な差別やいじめ等(SNS等での投稿や書き込みも含め)が起こっているのも事実です。

誤った情報や根拠のない噂等の不確かな情報に惑わされて、誹謗中傷や風評被害を拡散することがあってはなりません。

感染者の方々への差別や偏見が拡がることは、人々の不安を煽り、感染拡大防止の取り組みの妨げにもなります。

感染リスクは誰にでもあり、感染症の蔓延を防ぐには、正しい情報に基づき、一人ひとりがすべきことを徹底して実践するなかで、お互いを思いやる気持ちを持って冷静に行動することが何よりも大事だと思います。

 

言葉で言うのは簡単ですが、非現実的現状や緊急事態に直視した場合、人は自己防衛本能のもと、心の弱さを抱き、心の奥底の差別心が現れます。

ハンセン病はその最たるのものでしたが、今回の新型コロナウイルス感染症においても、一度感染すると感染者を見る周囲の目が厳しいものに変わるだけでなく、感染者の周辺に対してさえも見方が変わってきます。

それゆえ、私たちは将来この病気がどのようになるか予測し、今ある正確な情報をもとに、正しい知識を身につけ、他者と助け合いながら差別を見抜く感性を養っていくことが大切です。

 

緊急事態宣言が出され、社会生活等が一変し、生活に対しての鬼気迫る影響、将来が見通せない現実がニュース等の情報番組において日々報道され、状況は悪化の一途をたどっています。

しかし、終わりのない闘いはありません。

私たちは歴史から学びます。

この国難に立ち向かうために、私たち国民一人ひとりが危機意識を高め、経済・教育・医療・生活、それぞれの分野で今実践できる最善策を模索し、「皆で乗り越える」ことを合言葉に、立場は違えど今できることをあきらめず地道に実践していきましょう。

そして、みなさんが今できることは、健康的な生活を送りながら自宅に留まって、みなさん自身が感染しないこと、そして他人に感染させないことを徹底して、新型コロナウイルスの封じ込めに貢献することです。

(文責:高校教員)