香川県藤井高等学校
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社会科/理科より

<社会科より>

 
社会科では「歴史から見た感染症」についてふれていきます。
現在、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっています。
最近のニュースを見て、やっと危機感を持つようになった方も多いのではないでしょうか。
歴史を振り返ると人命を多く奪ったできごととして、「戦争」を思いつく方が多いのではないかと思いますが、それは違います。
歴史の中では、戦死者数よりもウイルスによる感染症による犠牲者の方が多いのです。
人類は紀元前より昔から、さまざまな感染症と戦ってきました。
原因も治療も十分に確立されていなかった時代には、感染症のパンデミックは歴史を変えるほどの影響を及ぼしてきました。
感染症をもたらす病原体や対処方法がわかってきたのは19世紀後半になってからです。
では、日本はどうでしょうか。
実は日本では「感染症」に関するものが身近な文化として根付いています。

「改元」はその例です。
昨年、「平成」から「令和」となりましたが、改元は疫病や感染症と関係する場合があります。
「令和」は最初の年号の「大化」以来、248番目の元号です。
改元理由に最も多いのは自然災害や戦乱、疫病などの大きな変異が起きた時の「災異改元」です。
これは新天皇即位(今回の「令和」のような事例)よりも多いそうです。
災異改元のうち、3分の1は疫病や感染症の流行で多くの死者が出たときでした。
一番多かった感染症は「天然痘」で、大勢の人が原因も分からずに次々と亡くなっていき、治療法もなかった時代、日本人は祈り、改元するほかに対処の方法がなかったのです。
他にも「年中行事(節分など)」や「歴史的な建造物(東大寺の大仏)」も身近な文化のです。
気になった人は色々と調べてみましょう。
身近なことから「歴史」を学ぶことができます。

日本は長い歴史の中で、感染症に何度も苦しめられ、見えない敵と闘ってきました。
全世界での新型コロナウイルス感染拡大は、第2次世界大戦以来最大の試練とされています。
「歴史」を振り返ることで、人類の取り組みや姿勢を学び、「今」に生かすことができます。
社会科を学ぶ意義の一つはそこにあります。
休校期間中、歴史をしっかりと勉強しつつ、日々の世の中の動きに常に注目しながら、学習課題にも感染症予防にも意識を高く持って取り組んでいきましょう。

 

<理科より>

 
臨時休業となって10日が過ぎました。
宿題や家の手伝いなど出来ていますか?
現在、COVID-19 (以下、新型コロナウイルス)が大流行しています。
この事態を一刻も早く収めるため、多くの研究者が日夜PCR法を用いてウイルスの研究・解析を行っています。
ところで、PCR法が何なのか、知っている人は少ないかと思います。
そこで今回は、PCR法の「PCR」について、それから新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの検査の違いについて、簡単に説明します。

PCRを一言で言うと、「遺伝子増幅実験」です。
Polymerase Chain Reactionの頭文字を取ったもので、「ポリメラーゼ連鎖反応」ともいいます。
PCR法はDNAの遺伝情報について調べるときに利用され、生命科学の世界では基礎的な技術です。
この技術が確立したことにより、マンモスなど古代DNAサンプルの解析や、DNA型鑑定など、さまざまな実験が可能になりました。

それでは、PCR法を用いてどのように新型コロナウイルス感染の有無を調べるのでしょうか。
まず、新型コロナウイルスの感染箇所である鼻または喉の細胞を採取します。
その後、採取した検体の中に新型コロナウイルスだけが持つ遺伝子が存在しているかどうかを調べます。
もしその遺伝子が検出されたらその人はウイルス陽性の患者となります。
PCR法での検査には最低でも4~5時間はかかります。
それに対して、インフルエンザの検査方法はイムノクロマト法という技術を用います。
これを一言で説明すると「タンパク質検出実験」です。
まず鼻の奥から細胞を取り出し、採取した検体を試験紙にふりかけます。
この試験紙にはインフルエンザウイルスだけに結合する抗体が染み込ませてあり、もしインフルエンザウイルスが採取した検体中に存在していたらウイルスが試験紙の抗体と結合し、色付くようになっています。
イムノクロマト法の検査は10~20分で終了します。

それぞれの検査にかかる時間の差は、医者や検査技師の技術の問題ではなく、実験原理の問題です。
まだまだ研究段階である新型コロナウイルスなので、判明していることが少ないことと、検査に必要な抗体が作られていないことにより、現段階ではPCR法を用いた検査が行われています。

大切な人を守るためにも、仕事や家事、その他の関係上どうしても外出しなくてはならないという場合を除いて外出を極力避け、マスクの着用や手洗いうがいを徹底するなど、自分に出来ることを行っていきましょう。
普段の生活で疑問点を持つことが理科では大切なことです。
それらを意識して日常生活を送ってください。
それでは休業明けに学校で会えることを楽しみにしています。
 

(文責:高校教員)